るりとうわた

日常をつづる

観劇

昨日青山劇場で、震災後初の観劇となりました。

1ヶ月以上の電車の不定期や、計画停電があるかも知れず、まだ余震もあり、出かけたものの帰れなくなっても困るし。
そう思うと中々東京まで出掛ける気になれませんでしたので、ようやくです。(笑)
今ばロマンスカーも走り、客数も増えていたので、通常に戻りつつあるようです。

「MITSUKO」〜愛は国境を越えて〜

[劇作・脚本・演出・作詞]小池修一郎

[音楽]フランク・ワイルドホーン

[出演]光子:安蘭けい/ハインリッヒ:マテ・カマラス/リヒャルト(青年期):辛源、ジュリアン(ダブルキャスト)/イダ:AKANE LIV/リヒャルト(壮年期):増沢望


ストーリー
欧州で最も有名な日本人クーデンホーフ光子の数奇な運命の物語。国際結婚どころか、異国の人との交際さえありえない時代1892年、日本で外国人と結ばれる女性は特別な娼婦のみとされ彼女たちは『ラシャメン』と呼ばれて蔑まれていた時代が、当時18歳の東京牛込の町娘青山光子はオーストリアハンガリー代理公使ハインリッヒ・クーデンホーフ伯爵と出会い、そして光子は愛するハインリッヒとの結婚に踏みきった 親に勘当された彼女は、新たな疑問を抱く。「何故、人は受け入れないの だろう自分と違う価値観を持った人がいることを」 彼女は一生を掛けてその答えを探すこととなったのでした。

2005年日本EU交流年の前年(2004年)に、小池氏はウィーンにまつわる日本とEUに関係するものをやらないかと言われ、それがこのクーデンホーフ光子の息子のリヒャルトがパン・ヨーロッパを提唱し、今日のEUに繋がったことを知り、そこからスタートしたそうです。

そして2005年12月ウィーンにて一夜限りの「MITSUKO」一路真樹、井上芳雄のコンサートを実現、その第二弾として制作されることとなったのがこの作品です。


1941年アメリカでパン・ヨーロッパ思想について講演するリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーの元に日本人女学生が訪れ、彼女の父日本大使より手渡された手紙には母・光子の死が。
舞台はこうして始まり、母光子の回想シーンとなります。
1部は、光子とハインリッヒの出会い、結婚、大使の任を解かれて2人の子を連れて1896年祖国であるオーストリア=ハンガリー帝国へ帰国、ボヘミア(現在のチェコ)のロンスペルク城に移り住み、更に5人の子供をもうけました。
帰国10年後に夫は急逝、当主として頑張り、7人の子を育てるのですが、もっと高い教養と学問を身に付けさせるためにウィーンに出る決心をします。順を追って進み、ここまでが1部です。

2部で、光子は社交界に復帰するのですが、1914年に第一次世界大戦がおこりオーストリアハンガリーと日本は敵国となってしまい、生涯日本には帰っていません。
学生の次男のリヒャルトが14歳年上のウィーンの美人舞台女優イダ・ローランと結婚すると言い出し、光子は大反対し息子を勘当します。
大学卒業後イダと結婚したリヒャルトは「パン・ヨーロッパ主義」を出版し、一大旋風を巻き起こしました
光子は1925年脳溢血で右半身不随となり、一人残った次女オルガの介護により、ウィーン郊外で過ごします。
オルガ以外の子供たちは、光子に反発し、去ってしまい、光子は誇り高い日本人として過ごし、子ども達に高い学問をと願ったが、今は孤独であると嘆きます。
ヒトラーの出現によって、パン・ヨーロッパ運動は頓挫し、リヒャルトは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツから逃れて、最終的に米国へ亡命しました。
この亡命の過程が、映画「カサブランカ」のモデルだと言われています。
イルザ・ルンド(イングリット・バーグマン)の夫、ナチスに追われる抵抗運動の指導者・ヴィクター・ラズロ です。


そのアメリカで、その日本人女性の恋人(ハーフ)がアメリカ人として出兵し日本と戦うという悩みを打ち明けます。
リヒャルトは愛に国境はないと、教えるのでした。

あらゆるところが小池修一郎テイストに溢れていました。
それにこだわりはキャストかもしれません、ハインリッヒを日本人が演じるのでなく、ハンガリー生まれのマテ・カマラスを、リヒャルトをハーフの辛源(右、韓国とイギリス)とジュリアン(日本とアメリカ)が演じるというリアル感です。
今なら国際結婚も多数ありますが、文明開化の始まった明治の時代の話ですから、光子さんは大変な思いだったことと実感することが出来ました。

辛源さんは「RENNT」で観たことがありますが、この回はジュリアンさんで、誰と思っていました。
先週偶然「徹子の部屋」にお母さんと出演で、水沢アキさんの息子でした。
上を向いて歩こう」を披露、徹子さんが歌い方と声を絶賛、母親がブラウン大学の卒業式にアカペラで国家を歌ったと言うと、徹子さんはそれも聴きたいと。(笑)
甘いマスクで声量がありました。
小池修一郎さんは新人の発掘は上手いですからね。
初舞台だそうですが、フレッシュでした、もっと押しが強くても、という気もしましたが、今後が楽しみですね。
EUの生みの父」の生みの母の物語でした。

クーデンホーフ光子の手記 (河出文庫)

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青山栄次郎伝  EUの礎を築いた男

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