るりとうわた

日常をつづる

梅雨入り・原発の安全とは


写真の花は匂番茉莉(ニオイバンマツリ)で、甘い香りがします。花の色は最初は紫色で、2〜3日後に減色して白くなります。
伊豆の下田にある、「日米和親条約附録下田条約」の交渉と締結が行われた了仙寺(りょうせんじ)の庭は、このニオイバンマツリでいっぱいです。十数年前にこの寺で買い求めた苗です。
この花が咲きだすと雨の空気が匂うというか、梅雨が近くに感じられます。
今日、ちょうど関東も梅雨入りしました。
クチナシのつぼみも膨らみ、こちらも一層甘い香りが漂いそうです。

8日夕方に野田首相は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について「国民生活を守るため、大飯原発3、4号機を再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明があり、さらに「東京電力福島第1原発事故の時のような地震津波が起きても事故は防止できる」と自信を示したそうです。

が、ちっとも具体的でないので不安が拭えません。
今度の東日本大地震より大きな地震が来ることはないと保証できるのでしょうか?その時の9,5メートルの津波より大きな波は絶対来ないと言えるのでしょうか。
もしメルトダウンしたら、琵琶湖の水源が汚染されたら・・・
という不安にこたえるものは何もありません。
ただ「事故は防止できる、起こらない」という安全神話はもう崩れ去ったのですから。

先日NHKであった「番組シリーズ東日本大震災原発の安全とは何か 〜模索する世界と日本〜」という番組を思い出しました。
世界にも大きな衝撃を与えた東京電力福島第一原発事故原発を持つ国々では、現在も、原発の安全性をどう確保するか、事故からどんな教訓をくみ取るべきなのか、詳細な分析が行われ、議論が交わされている。アメリカでは、NRC(原子力規制委員会)が事故を徹底分析し、「米国でも起きうるか?」を検証。政府が「原発推進」を掲げる中、住民への情報公開をして安全対策・規制を巡って議論を戦わせていました。
一方、スイスでは想定外の事故は起こりうるとして、ストレステストで、どこまで負荷に耐えうるか、メルトダウンが起これば、放射性物質の放出にもどこまで耐えうるかを経済性を度外視した安全対策を検討していました。
会社のことも利益も関係がない、安全のことしか考えないとして、各原発について、あらゆるケースについて議論され、川からの水源を利用している所では1万年に1度起こるかどうかだけれど、川の水が干上がった場合、どの地下水源を確保するか?ということも話し合われていました。
その結果、原発エネルギーは安全対策にコストがかかり過ぎること、それで国内の4基の原発を廃止することを決めました。

事故が起きた日本では、原子力安全・保安院が、福島の教訓をまとめた新たな“30項目の対策”を公表する一方で、その一部を新たな安全基準と定め、安全性を審査し、原発の運転再開を目指している。という内容でした。

ところが今回の大飯原発では、その安全対策を1次と2次に分けてしまいました。
その1次で福島のような事故は起こらないと結論づけただけで、メルトダウンしたらその後の対策という2次は調査も実施もされていません。
また目先のことだけを考えて、安全対策が後回しでは、同じことを繰り返さないとは言い切れません。

原発に100%の安全はない、というのが今回のフクシマの教訓だったのではないのでしょうか。
当事国の安全対策が一番中途半端では、これで「国民の生活を守る」とは言えないと思います。