るりとうわた

日常をつづる

「100,000年後の安全」


原発から出る大量の廃棄物(使用済み燃料棒)がどう処理されるのか、フィンランドに建設中の高レベル放射性廃棄物最終処分所“オンカロ”をめぐるドキュメンタリー作品です。
日本では2011年3月の東京電力福島第一原発事故を受けて緊急公開された映画です、私はDVDで観ました。

100,000年後の安全

原題: INTO ETERNITY

製作年度: 2009年

製作国・地域: デンマーク/フィンランド/スウェーデン/イタリア 上映時間: 79分

監督・脚本:マイケル・マドセン
脚本:イェスパー・バーグマン
撮影:ヘイキ・ファーム
編集:ダニエル・デンシック
出演:T・アイカス、C・R・ブロケンハイム、M・イェンセン、B・ルンドクヴィスト、W・パイレ、E・ロウコラ、S・サヴォリンネ、T・セッパラ、P・ヴィキベリ

あらすじ: 原子力発電所から多量の高レベル放射性廃棄物が排出される昨今、それらの廃棄物は暫定的に集積所に蓄積される。このままでは自然災害や人災の恐れもあるため、フィンランドでは世界初の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場建設を決定。雄大な北欧の大地の奥深い場所に、廃棄物は今後10万年もの間保持されることになる。
2020年の運用開始を目指し、フィンランドのオルキルオトに建設中の高レベル放射性廃棄物最終処分所“オンカロ”。それは、安全な状態になるまで10万年間かかると言われている高レベル放射性廃棄物を貯蔵するために地下500メートルまで固い岩盤を掘削した、まるで地下都市のような巨大な施設となっている。この“オンカロ”に世界で初めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品

このオンカロ放射性廃棄物が無害になるまでの10万年間耐えられるよう建設される予定ですが、その10万年間のどこかで誰かがこのオンカロに侵入したという仮定で話は進みます。
「未来の誰か」へとして映画は語り続けます。

原発を運転していれば必ず発生する高レベル放射性廃棄物は、放射能が強すぎて、10万年くらいの時間は隔離しておかないと危なくて生物は近づけない。
そこでアリの巣のように、廃棄物を保管する地下室を作り、一杯になる2050年に閉じる、放射能が無害になる10万年間そこに蓋をしてしまう。

まだキリストが生まれてから数えてもたったの2000年しか経っていない。
で、「10万年後の未来に人間はいるのか」「氷河期が来るかも知れない」「いまと同じ文明は続いていないかも?言葉は通じるのか?」「もし違う文明の人が見つけたら、貴重な遺跡か宝か何かと掘り出すのでは?」
「看板に「立ち入り禁止」「掘るなキケン」と3つぐらいの言語で書いておこう」「いや文字が読めるとは限らない?」「絵にしよう」
と、非現実的とも思えることが真摯な会話で続きます。

気が遠くなるというか、想像することが不可能な「時間」の長さです。でも未来に押し付けるのは現実のことです。

それでも忘れてはいけないことを伝えなくてはとし、そこで10万年前と言えば、ネアンデルタール人ですが、その人たちと現代人とでどう意思疎通ができるのか、…と語り続けます、考えていくとほぼ絶句状態です。
10万年の「時間」は、もはや科学ではなく、哲学の領域です。
本当にどうして人間はこんな危険なものを手にしてしまったのか?平和利用という言葉がカモフラージュしてしまった感じがします。
ましてや地震国の日本に地下埋蔵は無理でしょう。

原発を稼働させることは事故という危険が伴うというだけでなく、高レベル放射性廃棄物を増産し続けるということを自覚しなくては、今すでに25万トンもあることを、これらを未来の人々に押し付けることを・・・

知らされていないこと、知らないことがいかに多いかを知りました。
原発はいらないとしか言いようがありません。