るりとうわた

日常をつづる

観劇2


昨日は今年二作目の観劇でした。

作・古田日出男 演出・蜷川幸雄の「冬眠する熊に添い寝してごらん」を渋谷のbunkamuraシアターコクーンで観劇してきました。(ネタバレあり)
題名も、すらっ〜と、一言で出て来難い意味合いなのですが、見終わっても何が言いたいのかが、良くわからない?という感じでした。
前回観た「真田十勇士」が、幸村は実力がなく顔だけイケメンで持てる、実は猿飛佐助と霧隠才蔵の二人がリードして、秀頼(秀吉の子)を守ったと、簡潔、そして言いたいこともよ〜くわかる内容でした。
今回はもやもやですっきりしなくて、まっすぐ帰れず、お茶してきました。(笑)
それが上の写真で、紅茶にチョコレートで、脳内活性化を図ってから、帰宅しました。
12時から始まった舞台で、変な時間にはじまるね〜、と話していたのですが、それでも終了時間は3時45分で、15分の休憩を取っても、3時間半の長い舞台でした。

それで蜷川さんは何と言っているのか少し調べてみました。

古川日出男作、蜷川幸雄演出

 小説家の古川日出男が、蜷川幸雄演出の舞台の台本を手がけた。

 1月9日から2月1日まで東京・渋谷のシアターコクーンで上演される「冬眠する熊に添い寝してごらん」だ。2年前、蜷川演出「血の婚礼」を見に行った古川に、蜷川が「本を書いてみませんか」と声をかけて実現した。

 伝説の熊猟師と、熊、犬との聖なる戦いの物語。猟師の末裔まつえい、川下一(井上芳雄)は、ライフル競技の五輪代表。そんな兄を尊敬する弟の多根彦(上田竜也)はエリート商社マンで、「25歳で1子をもうける」という家訓を実践しようとしている。そこに現れる女詩人、ひばり(鈴木杏)と川下兄弟の関係の揺らぎから、猟師一族100年の歴史が呼び覚まされてゆく。

 奔放な発想、疾走感あふれる作風の古川は、「舞台の常識にこびず、小説家のイマジネーションがどこまでを射程に収めているかを見せたいと思って書いた。全編、蜷川さんへの挑戦状です」。蜷川は、「全く、どうやっていいか分からない本だけれど、古川さんのイメージに負けない演劇の力をどこかで示していけたら」と応じる。

 出演は勝村政信立石涼子、沢竜二ほか。

(2013年12月25日 読売新聞)

なるほど、そういう過程で、出来た舞台なんですね。
bunkamuraにもこう書いてありました。

初日を迎えるに当たり蜷川氏は昨年11月の製作会見でもぼやいていたような、「理解できないで大変でした」とコメントし、原作の難しさをしみじみと話しつつ、「その分頑張ったからおもしろかったです」と、やりがいがあったそう。

道理で分かり難いはずです。(笑)
ちなみに初日の前日、記者会見での様子を書いたものがこちらです。

スタッフ
作=古川日出男 演出=蜷川幸雄

キャスト
上田竜也井上芳雄/鈴木 杏/立石涼子/大石継太/石井愃一瑳川哲朗/沢 竜二/勝村政信 ほか 。
古川日出男脚本×蜷川幸雄演出『冬眠する熊に添い寝してごらん』が、本日9日に開幕。初日を翌日に控えた8日に、一部シーンが公開された。

ミュージシャンやダンサーとコラボするなど、ジャンルにとらわれない革新的な活動で注目を集める小説家・古川が書き下ろした戯曲を、蜷川の演出で送る本作。100年の時を超えて語られる、伝説の熊猟師と熊、そして犬の物語。日本の歴史の暗部に光を当てながら、奇妙な家訓のある良家で育った川下兄弟や女詩人の愛と憎しみをエネルギッシュにつづる。

物語の主軸となる川下兄弟の弟で、エリート商社マンの多根彦を演じるのは、蜷川作品に初挑戦となるKAT-TUN上田竜也。兄弟の兄でライフル射撃選手の一(はじめ)に井上芳雄。そして兄弟の高祖父である“伝説の熊猟師”役を勝村政信、多根彦の婚約者となる女詩人・ひばり役を鈴木杏がそれぞれ担う。

古川×蜷川という注目タッグが実現した本作。蜷川は「(古川の戯曲が)理解できなくて大変でした。でも、その分頑張ったから面白いですよ」と自信を見せ、また「今日はお見せできなかったけど、“こんなのありか!?”というような普通の演劇では見られないシーンがたくさんあります。お客さんには笑って、泣いて、拍手して、感じるままに観ていただきたいですね」と魅力を語った。勝村は「つくるのは大変でしたが、その分、みんながエネルギーを出し合っていて、ほかの戯曲とは違うエネルギーが出ている」と手応えを感じている様子だった。

10年ぶりの蜷川作品となる井上は「何しろビビってまして……。せりふだけは入れてこようと、稽古に臨みました」と苦笑いで振り返ると、蜷川は「今までの井上くんでは見たことのないような芝居がありますよ」と明かした。

そして、主演の上田は、蜷川作品には初めての出演となる。上田が「緊張はしました。稽古ではがっつり指導していただいて、あの時はキツかったけど、今は楽しいですね。勝村さん、井上さんたちに助けてもらって感謝してます」と心境を明かすと、勝村は「まだ指導した分の受講料もらってないんですけど……」と会場を笑わせる場面も。

上田のことを蜷川は「意思が強そうだし、目つき悪いし、良いなと思ってましたが、昨日の通しがものすごく良かった。ジャニーズの人はみんなまじめなんですけど、上田くんは廊下でも稽古していたりしていて。昨日の芝居を見た後は“おー、才能あるな、お前”っていう感じでしたね。狂気がある」と絶賛。

これに対して上田は「狂気を出せば出すほど楽しくなっていくという感じで、素の自分にもそういうものがあるんでしょうね」と自身を分析し、鈴木も「稽古では、少しずつ開放されていく過程を見ることができましたね」と付け加えた。

最後に上田は、初日に向けて「この後の稽古も大事にして、まだまだもっと伸ばせるところは伸ばしたい」と気を引き締めつつも「すごく新しい舞台になっているんじゃないかなと思うので、ぜひご覧ください」とコメントし会見を締めくくった。

そういう意味では挑戦を受けた蜷川さんは頑張られたという感じでしょうか、78歳で毎年新作をやられるのは凄いです。
友人とも話していたのですが、蜷川氏の言う「普通の演劇では見られないシーンがたくさんあります」というシーンや、それぞれの独白や、ベットシーンが長いのですよ。
1部なんか、状況ばかりで、しかも騒々しい状況(世相、時代)の中で話すからセリフも聞き取り難いでした。
2人で、各シーンを短くすれば、1時間はカット出来ると、無謀にも言いたい放題です。(笑)
とにかく明治の話に、昭和の話に、現代の話を入れないといけないし、熊の話と犬の話も入れないといけない訳で、熊と犬の出演は以前「海辺のカフカ」で、猫の着ぐるみで表現していたから、今回もこれは出て来ると思いました。
以前よりもよりリアルな犬と熊の表現で、リアルすぎて不気味な感じさえしました。(笑)
時間と空間が飛ぶのは、以前唐十郎作で蜷川演出の「下谷万年町物語」がそうでしたから、似ているかなとも思いましたが、「下谷」のほうが、まだわかりました。
さらに、かつて日本では、新潟で油田が産出したこと、第二次世界大戦は資源を求めてはじまったと言わせ、そして弟が兄へ、原発をテロリストが狙っている、それをオンリンピックの射撃に出る腕で仕留めれば、国を救う英雄になると、兄を煽り、復讐を遂げようとする・・・
何が狂っているのか!・・・
熊と犬の話から、そもそもすべてが狂っているのか?

熊に掛けて富山の薬売りが出て来ます、熊の胆のことですが、その薬売りが、これは効く、300年前から、400年前から、500年前からと言って去るのです。これでラストです。
その前に何度か「100年の想像力を持たない人間は、20年と生きられない」と出て来ます。
100年経っていないのは原発のことかな・・・と、
役者さんはそれぞれ熱演でした。