るりとうわた

日常をつづる

映画「悪人」(ねたばれ)


吉田修一×李相日×久石譲
時代を切り裂く才能が贈る、感動のヒューマンサスペンス。
原作◆吉田修一
脚本◆吉田修一、李 相日
監督◆李 相日
音楽◆久石 譲
主題歌◆「Your Story」福原美穂
キャスト◆妻夫木聡深津絵里岡田将生 満島ひかり
      樹木希林 柄本 明

あらすじ: 若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。

話題の映画を観て来ました。
登場する人物は、皆どこにでもいる、若者であり、親であり祖母でもあります。
現代を代弁?する、携帯電話に車に出会い系サイト。
そこに、嘘と驕りと誹りと自尊心が絡み、殺人事件がおきます。

映画は坦々と進むのですが、被害者の家族や加害者の家族の人間模様が丁寧に描かれています。
映画を見ながら絶えず考えさせられます。
特に被害者の父(柄本 明)の言葉、「あなたには大切な人がいますか?」というのが、絶えず問い続けられる映画です。

祖母(樹木希林)は母に代わって祐一(妻夫木聡)を育て上げ、それはきっと愛情たっぷりだったことでしょう。
でも、祐一はいつも孤独でした。
子供の頃に、親に捨てられ、そのトラウマで心が開けなかったのでしょう。

それが、刹那なはけ口で出会った光代(深津絵里)に、心を開きます。

それで、祐一は自首することを決めます、悪人が善人になる瞬間です。
警察に出頭する祐一の後ろから、車のブザーで、光代は止めます、一緒に居たいと。
そこから切ない逃避行がはじまります。
何故殺したの?それさえなければ?

この灯台の景色から、「どうこにでもいけそう」と感じる光代ですが、祐一は灯台の明かりを見ていてと言われ、母親に捨てられた記憶があります。

食料品が尽きて、光代が町に出ると、保護されてしまいますが、窓から逃げ出し、必死に愛する祐一の元に駆けます。
祐一は、また母のように戻らないのでは?と不安に感じながら窓を見ると、走ってくる彼女の姿が・・・、ようやく辿りつく光代。
すでに、警察がその後を追って・・
祐一は愛するがゆえに、光代を襲い、光代にとっての悪人になります。

そして最後のシーンは、光代が殺害場所に花を添えに行くのですが、被害者の父親が来たので、花を添えずに帰ります。
愛した光代に、祐一の愛は届いているけれど、世間にとって祐一は”悪人”でしかないこと。
本当に、色んなことを考えさせられる映画でした。

皆さん演技が素晴らしい、中でもやはり深津さんの女心、愛の強さは、大きかったかな〜、という気はしました。

第34回モントリオール世界映画祭最優秀女優賞おめでとうございます。