るりとうわた

日常をつづる

観劇and新宿


昨日は新宿紀伊國屋サザンシアターで「イーハトーボの劇列車」を観劇してきました。
今年一番の寒さというので、前日から何を着て行くか?と悩みました。
やはりコートがいるかな?と、マフラーも手袋も持参で、一応冬支度で行きました。
まあ、皆さんもう秋という格好ではなかぅたので、正解でした。
観劇は、私の一番のストレス解消です。
大体1時か1時半開演でも11時に集合します、ランチをしてゆっくりお喋りも楽しみの一つですから。
最近は夫のチェックが厳しくなり、以前は観劇というと、それ以上興味を示さなかったのに、昨日は、何処で?と、劇場を聞いてもわからないだろうに、その上に演目も聞くし、誰の?と出演者も聞いてくるし、携帯の日記に書き込んでいるみたい・・・(笑)
井上ひさし宮沢賢治のはなし、私は井上ひさし氏が好きだから」、と朝から夕飯のハッシュドビーフ(ハヤシライス)を作りながらの説明です。
出掛けても、しっかり主婦の仕事はこなしていきます。もちろんゴミ出しも、晴れ日なので洗濯もして、大忙しです。

我が家には決め事があって、私がご飯の支度が出来ないときは、昼ごはんはワンコイン(500円)で、夜は1000円を家計費から渡すということになっています。
近くにほっともっともコンビニもあるので、それで十分まかなえます、それで私は自由時間を確保し、観劇や旅行に出掛けます。
もちろん私も昼分はワンコインですが、外でそういうケチな食事はしないので、自分の小遣いからの持ち出しになります。(笑)
私の小遣いは保険会社で積み立てた個人年金です。
公的年金だけでは観劇や旅行はとても無理です、この個人年金があったからと、今、先見の明ありと自分で自分をほめたいです。
25年間積み立てましたが、パートで働いた(19年間)口座で賄いました。
思い起こせば30代後半の時に、同世代がわらわらと仕事をはじめ、その中の一人が保険会社に勤め、この個人年金の積み立て加入の話を持ってきました。
これから子供の学費もかかる世代なので、ローン返済もあるし、夫の収入から自分個人の積み立てはとても無理です、そのための費用捻出がきっかけとなってパート勤めをすることになりました。
もちろん雇う方も、30代と40代では印象も体力も違うということで、まさに清水の舞台から飛び降りたのは39歳の時でした。
今その年齢に、上の娘はなり、将来に続くより良い仕事に着きたくて、じたばたしていますが、なにせ私の時より、子供の年齢が小さ過ぎます、まだ2年生と保育所通いですから、難しいでしょうし、時代が変わり過ぎましたね。

話を元に戻して、家計費節約のため夕飯も作りました(笑)、そして久々の新宿高島屋の横の紀伊国屋です。
デパートはもうすっかりクリスマス仕様です。(高島屋のクリスマス装飾の写真です)
お昼は豪勢なお寿司(1500円)にしたのですが、話に夢中で写真を撮り忘れました。

前回野田MAPに行ったときは、二日前からチケットの用意をしていたのですが、メガネを掛けず、演目をチェックせずで、間違えてしまい、夫に送ってもらう車の中で気付き、取りに帰ったにもかかわず、また違うチケットを持ってきてしまいました。
劇場で、イープラスに発券確認をとってくれと係りの方に言われ、電話するが繋がらず、開演寸前に係りの方が友人の隣の席が空いていることを確認して、入れてもらえました、友人にも迷惑を掛けてひやひやしました。
ドジな話ですが、今回はしっかりメガネを掛けて確認済みですから、大丈夫とほっと〜電車の座席に座りました。
アクセサリーが、重ね着のベストにかかって、上手く落ち着かないので、何度かベストの前襟に手をやると、何故こんなに詰まっているのか?と裏を触ってみると、タグがあるではありませんか!
前後反対に着て来たようです。(笑)
トイレで直すにも待ち合わせの時間があるので、コートを着ているし、そのまま出会い、ドジ話の披露になりました。
友人は私より3つは若いのですが、以前、スカートで行こうか?ワンピースにしようか?と迷っていて、ワンピースで来たのに、お昼を食べた時にも、「ワンピースなのにウエストがきつい」と言っていました。
そして帰宅して脱いだら、スカートも履いていたと、いう話で、大笑いしたことがあります。
ドジ同士です。(笑)

そして終演後はリッチなデザートで、余韻に浸ります。
芝居の方は

こまつ座公演・紀伊國屋書店提携

「イーハトーボの劇列車」

■作   井上ひさし

■演出  鵜山仁


出演
井上芳雄 辻萬長 大和田美帆
木野花 土屋良太 石橋徹
小椋毅 松永玲子 田村勝彦
大久保祥太郎 鹿野真央 みのすけ
演奏:荻野清子

■ストーリー
大正七(一九一八)年十二月二十六日、宮沢賢治は、故郷花巻から東京に入院している妹・とし子の見舞いを目的に上野行きの夜行列車に乗り込んだ。その手には大きな革のトランクが握りしめられ、たくさんの願いが詰め込まれていた。
「大好きな音楽を聞き、エスペラント語の勉強をする。そのためには家の重圧から逃れ、父の庇護の下を離れなければならない。そして何よりも真の生き方を探すことである」
賢治は、東京に理想郷を求めては挫折を繰り返し、九度の上京の中でいつしか花巻に理想郷を見いだす。東京での出来事と上京する列車の中で賢治の童話から抜け出たような人物たちと織りなす夢のような時間が交差する。そして挫折の度に突然現れる背の高い、赤い帽子の車掌から手渡される「思い残し切符」とは・・・・・・。
井上ひさしが愛してやまない日本語に、不思議でかわいらしい、そして輝くような魅力を付け加えてくれた、岩手花巻人である宮沢賢治の評伝劇。文学、音楽、化学、農業、宗教、芸能など多岐にわたる才能を、虚弱ゆえ叶えることが出来なかった賢治。この数々の大切なものを、鵜山仁の新演出で現代に問いかけます。
ミュージカルだけでなくストレートプレイでも高い評価を得ている井上芳雄をはじめとする実力派の新キャスト陣を迎えて、十四年ぶりに再演いたします。

舞台の上に、さらに円形の小さい舞台を作り、そこで賢治が上野へ上京する列車の中や、病室、宿屋と劇の舞台となり、音楽はその後ろにピアノ1台を置き、展開します。
井上芳雄さんの宮沢賢治は一人で一役でしたが、他の方は色んな役を演じていました。
辻萬長さんはいろんな大事な役を演じておられ、いつもこまつ座にはなくてはならない役者さんですね。
賢治のお父さん役や車掌役、郵便配達人役など、見事です。
井上芳雄さんは歌声に惚れたのですが、このところストレートプレイもいいですね、実直で人にやさしい賢治の演技がぴったりでした。
最初の方は賢治の岩手弁が強く、上手過ぎてか、言葉が通じなくて困りました。(笑)
東京行きが増えたり、だんだん岩手弁が緩やかになって、良くわかるようになりました。
井上ひさし氏の脚本は膨大なセリフ量で、本当にセリフが精選されていて、無駄や余分なセリフがなく、日本語が美しいです。
その言葉の中に、ユーモアと比喩が溢れています。

そして登場人物に、悪い奴はいるけれど悪人はいない、誰も傷付けず傷つかない。
妹とし子の病室に、同じ病室の妹の見舞いに来ている人物が、東大出のエリートで、家も大金持ち、本人も三菱に勤めるエリートと、農村出身の賢治と対比して出てきます。
嗜好や生活感の違いや考え方、また中央と地方(農村)の対比にもなり、現実まで、持てるものと持てない者の違いが、当時はさらに大きかったことを教えてくれます。
それが後半になってまた登場し、賢治が花巻の農村にイーハトーボの理想郷を造ろう とするのに対して、三菱に勤めるこの人物は、満州に行って日本のユートピアを作る、と、当時の支配層の立場として対比させます。
そして終始、木偶のぼー(デクノボー)として賢治は自分を語り、農民が託す「広場があれば」という言葉が出て、「思い残し切符」という印象的な言葉が、死者から生ける者への伝達として、最後に車掌が切符を(観客に向けて)撒きます。
広場の意味することが何なのか?は考えないといけませんが、井上ひさし氏の人間に優しいメッセージが込められた心温まる芝居でした。