観劇
今年の初観劇は芸術劇場のトルストイの「戦争と平和」の第二巻第五部を中心に描かれた「 「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」でしたが、これはもう一度来週行きますので、その後に書きます。
その後、シアターコクーンのドストエフスキーの「罪と罰」の観劇を書きます。
どちらもロシア物であり、今演劇界はロシアに注目なのかしら?
シアターコクーンは30周年記念公演をやっていて、12月はイプセンの「民衆の敵」で、2作目が「罪と罰」の文豪の大作ということで、その本気を感じることが出来ます。
私は昔、本を読んだのと野田秀樹さんの贋作「罪と罰」を観ていたので入りやすかったです。
《STORY》
舞台は、帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルク。頭脳明晰な貧乏青年ラスコリニコフ(三浦春馬)は自分が「特別な人間」として、 「人類が救われ、その行為が必要ならば、法を犯す権利がある」という独自の理論を持っていた。
そして強欲で狡猾な質屋の老婆を殺害し、奪った金で世の中のために善行をしようと企てている。 そんな中、酒場で出会った酔っぱらいの退職官吏、その後妻カテリーナ(麻実れい)ら貧乏な家族を見ると質入れで得たお金をすべて渡してしまうのであった。 ついに殺害を決行するが偶然居合わせた老婆の妹まで手にかけてしまい、罪の意識、幻覚、自白の衝動に苦しむことになる。 そうして意識を失い数日間も寝込んだ彼を親友ラズミーヒン(松田慎也)が見守り、 結婚のため上京してきた妹ドゥーニャ(南沢奈央)と母プリヘーリヤ(立石涼子)も心配をする。 一方、老婆殺人事件を追う国家捜査官ポルフィーリ(勝村政信)はラスコリニコフを疑い心理的に追い詰めていき、 さらに謎の男スヴィドリガイロフ(山路和弘)の登場に翻弄されていく。
そして退職官吏の娘・娼婦ソーニャ(大島優子)の家族のためへの自己犠牲の生き方に心をうたれた彼は...
数々の普遍的なテーマに触れながら、 人間回復への強烈な願望を訴えたヒューマニズム大作!
4段ぐらいある階段が二段あり、それで高さの違う3面を行き来することで、地域というか、下宿屋と金貸しの場面の違いを表し、その階段の隅には、家具やがらくたが放置され、紙くずは散らばり、貧しいロシアの下町が、まるで絵画を見る様に描かれているのがわかりました。
ドア一枚を立てて、そこを開け閉めするだけで、金貸しや下宿の部屋が見えるようで、そこら辺のがらくたが小道具に姿を変えるのも上手かったです。
何よりも三浦春馬君の演技がよかったです。脳裏の狂気と心の葛藤による自身への苦悶の長台詞は、やはり藤原竜也君は上手いな~と感じさせてくれますが、それに匹敵していました。
ただ藤原君は、何でもないセリフまで仰々しく感じることがありましたが、それがない分春馬君の方がいいかもとも思いました。
舞台の担い手として、こうして脈々と後輩は続いて行くのだと、感動すら感じました。
そうしたら、演出家について、こういう書き込みがありました。
気鋭の英国人演出家、フィリップ・ブリーンは、戯曲は自身が2016年にLAMDA(ロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマティック・アート)に書き下ろしたものをベースに、日本公演のために再構築していきます。“正義”のためなら人を殺す権利があると考え、殺人を犯す主人公の青年ラスコリニコフには2 度目のタッグでブリーンから「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」と絶大な信頼を得ている三浦春馬を迎え、哲学的な思索、社会に対する反動的な見地と政治思想、宗教感を織り交ぜながら、当時のロシアでの民衆の生活状況を描きつつ、殺人者の倒錯した精神に入り込んだ心理描写など読み応え満載の原作を舞台作品として甦らせます。
「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」とは凄い信頼関係ですが、舞台を観ていても、これは演出家と主役の一体感がすごくうまくいっているな、というのはわかりました。
音楽は3人だけで、群衆の中に混じって、チェロと、クラリネットと アコーディオンが、3者の時もありますが、1人で演奏することも多く、一層もの悲しさを掻き立てました。
演出家フィリップ・ブリーンのコメント
コメント
シアターコクーンにて、私が新しく翻案したドストエフスキーの『罪と罰』を初演できることを嬉しく思っています。東京で作品を創るたびに、この特別な国際的コラボレーションにおける可能性を広げてきました。『罪と罰』は、世界文学の最高峰と言われる作品の1つであり、ラスコリニコフは最も象徴的な登場人物の1人です。このような作品で、三浦春馬さんともう一度コラボレーションし、この旅路を一緒に歩んでいけることを嬉しく思います。『地獄のオルフェウス』で初めてご一緒し、彼の素晴らしい俳優としての可能性がわかりました。そして実際、彼は素晴らしい俳優になり、今回その類い稀なる感情の幅を持ってこの象徴的な役を演じることをとても楽しみに思っています。脚本家としても、この役を演じてもらいたいと思う俳優は、世界中どこを探しても彼の他には考えられません。
この戯曲は、7年間まるで心臓の鼓動のように私の中に生き続けてきた、私がずっと大切にしてきた戯曲です。今回この作品を日本の最も素晴らしい若き俳優の1人に託すことを本当に嬉しく、とても楽しみに思っています。
お芝居って、本当に面白いな~と感じさせてくれました。
「民衆の敵」では安い席を取ったら、舞台が半分も見えなくて、ラジオを聴いている感じだったので、今度はA席8500円で、後ろでしたが正面で観ました。やはり良かったです、正面は。(笑)