るりとうわた

日常をつづる

チェーホフ作

 

新国立劇場へ行ってきました。昨年は3部連続観劇で割安になるチケットを買って、3回行きました。

今回は、来月「オレステイア」に行きます。

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今回はチェーホフの「かもめ」です。

 

全キャストをオーディションで選考、上演する第一弾ということです。

 キャスト

朝海ひかる天宮良、伊勢佳世、伊東沙保、岡本あずさ佐藤正宏須賀貴匡、高田賢一、俵木藤汰、中島愛子、松井ショウキ、山﨑秀樹、渡邊りょう
スタッフ
演出:鈴木裕美
 作:アントン・チェーホフ

英語台本:トム・ストッパード

翻訳:小川絵梨子
STORY

ソーリン家の湖畔の領地。女優のアルカージナと愛人の小説家トリゴーリンが滞在している。アルカージナの息子トレープレフは恋人のニーナを主役にした芝居を上演するが、アルカージナは芝居の趣向を揶揄するばかり。トレープレフは憤慨しながら席を外すが、アルカージナは、ぜひとも女優になるべきだ、とニーナをトリゴーリンに引き合わせる。
ニーナは、トリゴーリンに名声への憧れを語り、徐々にトリゴーリンに惹かれていく。トレープレフは自殺未遂を引き起こし、さらにはトリゴーリンに決闘を申し込むが、取り合ってすらもらえない。モスクワへ戻ろうとするトリゴーリンに、ニーナは自分もモスクワに出て、女優になる決心をしたと告げ、二人は長いキスを交わすのだった。
2年後、トレープレフは気鋭の作家として注目を集めるようになっている一方で、ニーナはトリゴーリンと一緒になったものの、やがて捨てられ、女優としても芽が出ず、今は地方を巡業している。
トレープレフがひとり仕事しているところへ、ニーナが現れる。引き留めるトレープレフを振り切り、再び出て行くニーナ。
 絶望のなか、部屋の外へと出て行くトレープレフ。銃声が響く......。

 

 


今回演出家たっての願いで、6カ月かけてのオールキャストをオーディションで選ぶと言うやり方で、そうなると自ずと演出家の趣向、主張が前面に出ますよね。
出てくる皆さんが、何故か怒鳴っていると言うか、荒々しく台詞を叫ぶように言うのか?何故なのかな?と疑問に感じました。
確かに耳にはセリフが飛び込んできます。
ただ全員がそうする必要があるのか?
背景の緑豊かな舞台装置の中にあって、何とけたたましい人間の関係と言うか生活なんだろうと言う気がしました。
たしかにこれは喜劇なんですが、皆で、大いなる悲劇につ込んでいくと言う感じがしました。

私が持っている本は新潮社の「かもめ」で、訳が上西清さんで、小川さんは英国の劇作家トム・ストッパード脚本をご自身の重訳で取り組まれたそうです。
ただ私が読んだ本とさほど変わらないセルフが並びました。では、字ずらでなくて、解釈が変わったのかしら??

ただ1幕の息子トレープレフと恋人で、女優希望の夢を持つニーナの印象が、4幕ではがらりと変わり、作家として成功し始めたトレープレフと、生活に疲れた感じのニーナでした。

全く、この二人が以前と変わって見えたことには驚きました。道が違った二人の成長ぶりと言うか、2年間ですが、進化した大人の姿には驚きました。
それを強調するための周りの人々の騒々しいセリフのやりとり、かもと言う気がしないでもありませんが、そこを際立たせるため?に必要かな?でも中身は変らなかったという結果ですがね。
テンポよく進むのはいいのですが、余情がないと言うか、どの共演者の感情にも寄り添えない感じがしました。

そうしたら、噂のそのお二人の対談を見つけました。

 


──本作では、劇場初の全キャストオーディションが大きな話題になりましたが、そもそも小川さんがフルオーディションを提案されたのはどういう意図からですか。

 

 

 

小川絵梨子 端的に言うと、それは“作品”のためです。作り手が新しい俳優と、俳優が新しい演出家と、劇場が新しい作り手たちと出会い、作品を立ち上げていく。略
      いわゆる民間の劇場や制作団体だと、興行として成功させなくちゃいけない。会社として利益を上げなければいけないわけだから、スターさんを中心に据えて、チケット代も少し高くして、とにかく「売る!」っていう考えになるのも理解はできる。でも、そうじゃない道も探し始めていいんじゃないのかなと思うし、住み分けという意味も含めて、それができるのが公共劇場なんですよね。

 

 


──その台本をもとに、鈴木さんが立ち上げるのは、どんな「かもめ」なのでしょう。

 

 

鈴木 「かもめ」は、「10人の残念な人々」って副題が付くような戯曲だと思っています。人気作家のトリゴーリンが20歳近く年下の女優志望・ニーナに向かって、自分の創作にまつわる悩みを延々と語る……なんて、いい大人のすることじゃないです(笑)。作家を目指しているコンスタンティンをとてもハンサムな方が演じられることが多いんですが、戯曲のどこにも「美男子だ」とは書かれてない。4幕で「ハンサムになった」と言われるけど……。私としては、ちょっとオタクっぽいほうがよりかわいくて悲しいと思うんです。とにかく、特に喜劇にしようというのでもなく、まず、“書いてある通り”にやりたい。それが「バカだなあ、物悲しいなあ」と思える群像劇になればいいと思っています

 

 

──今回の上演は、ロシア語からの翻訳ではなく、イギリスの劇作家トム・ストッパードが手がけた英語版を小川さんが翻訳した台本によるものです。

 

 

小川 ストッパード版は圧倒的にリズムがいいんです。また、モノローグのようなセリフがいくつかあるんですが、それを会話として成り立たせている。それからシェイクスピアにまつわる小ネタが増えているのと……ト書きも減らされています。これは、自由度を高めて、画一的な上演を避けるためだと思いますが。

 


2016年には東京芸術劇場、ここは私の好きな劇場ですが、ここでの「かもめ」は翻訳劇に定評がある熊林弘高が演出。。
出演は満島ひかり(ニーナ)、田中圭(トリゴーリン)、坂口健太郎(トレープレフ)、渡辺大知、あめくみちこ山路和弘、渡辺哲、小林勝也中嶋朋子(マーシャ)、佐藤オリエ(アルカージナ)

この出演者たちの「かもめ」も是非見てみたかったと思いました。満島ひかりさん、舞台で観たいですね。

どうやら、イギリスの劇作家トム・ストッパード、ここに違いがありそうですね。

この日カメラが入っていると案内がありました。年齢幅広く観劇で、制服姿の高校生も多く、チェーホフ人気だわぁ、演劇部かなという感じを持ちました。