るりとうわた

日常をつづる

「ツリー・オブ・ライフ」(ネタバレ)

キャスト・スタッフ
監督 :テレンス・マリック
製作総指揮: ドナルド・ローゼンフェルト
音楽 :アレクサンドル・デスプラ
脚本: テレンス・マリック

ブラッド・ピット (オブライエン)
ショーン・ペン (ジャック)
ジェシカ・チャステイン (オブライエン夫人)
ハンター・マクラケン (若きジャック(長男))
ララミー・エップラー (R.L.(次男))
タイ・シェリダン (スティーヴ(三男))

あらすじ: 1950年代、オブライエン夫妻は3人の息子にも恵まれ、テキサスの小さな町で満ち足りた生活を送っていた。一家の大黒柱の父親(ブラッド・ピット)は西部男らしく子どもたちに厳しく接し、逆に母親(ジェシカ・チャステイン)がすべての愛情を彼らに注ぎ込んでいた。一見幸福そうに見える家族の中で、長男ジャックは孤独を感じ……。

12日の初日にこの映画を観てきました、ちょっと不思議な映画でした。
TVのCMとは違うというのはすでに、「ブラック・スワン」でも感じていたことですが、あの映画は二度と見たくないと思いましたが、この映画は機会があればもう一度見てもよいと思う映画でした。
それはまた、次に見たときは違う感じ方をするかもしれないと思ったからです。

それとわき道にそれるのですが、ブラッド・ピットを見たのは、監督: ロバート・レッドフォード の作品で「リバー・ランズ・スルー・イット」が最初でした。
幼い頃?いや若い頃かな(笑)、アメリカというと金髪に青い目と、代表するスターはそれこそ「追憶」のロバート・レッドフォードでした。
その再来と言われたのが、「リバー・ランズ・スルー・イット」のブラッド・ピットでした。(笑)
この作品はモンタナ州の田舎町に住む、牧師の父を持つ対照的な兄弟の確執と絆を描き、それを優雅なスタイルを持つフライ・フィッシングを通して描かれていました。弟(ブラッド・ピット)は天才的なフライ・フィッシングの腕がありました。
画面にたゆたうと流れる川のように身を任せ、またその川の様に家族の歴史も続くというような映画で、若き日のブラッド・ピットでした。
年齢を重ねた今は父親役で、今度はTREE(木)なんだということで、興味が沸きました。(笑)
ちなみに好きな映画俳優はジョニー・デップマット・デイモンや、リーアム・ニーソンとかクリント・イーストウッドとか・・・いっぱいいます。(笑)
でも、ブラッド・ピットは今もアメリカを感じる俳優です。

で、本題の映画ですが、 特にセリフがあるわけでもなく、地球の成り立ちのような宇宙や大自然の映像が流れ、成人したというかもう壮年期を過ぎた長男ジャックは、フラッシュバックのように思春期の少年時代の自分と弟と家族を思い出し、悔恨の情にかられています。
母は神の恩寵に生きる人として、不平不満も言わずに家事をこなし愛を持って子供たちに接します。
父は信仰に厚く、男には力が必要という厳格な父で、事業の成功のためには悪人にもならなければいけないと説く。
絶対的な父の権力に対し、次第に長男は反発と反抗を押さえきれずに、父には憎しみを持ち、死ねばよいとさえ思う。
母を「あなたは父に見下されている」と侮蔑する、弟には辛く当たる。(次男がブラッド・ピットにそっくり)
壮大な宇宙の小さな地球の小さな人間なんだけれど、彼の心の中にはその家族の接点が大きな大きな葛藤で、いっぱいになります。

1950年代半ばが少年期ということは私たちと同世代ということでしょう。
当時のアメリカの日常と自然が再現されているようで、色んな思いで日本にいた自分ですが共感を覚えます。
そして現代のジョンはたしかあの職場は先日TVで見た9、11で崩壊した世界貿易センタービルの跡地のグラウンド・ゼロのようです。
そして、新ワールドトレードセンターに携わる仕事をする成功者のようです。
父と同じ道を進んだのでしょうか、あの嫌いだった父の・・・
ただ父のほうは工場が倒産、仕事も家も失い、その時にはじめて自分には大事なものがある、3人の息子たちだと気付くシーンがあります。
グラウンド・ゼロもそうですが、子供の目から見て、犯罪を犯して掴まる人、足の悪い人と不幸な人々が映し出されます。
まるでこの世に神はいない、というように。
そして、「あなたの顔を見たことがない」「答えを教えて欲しい」と、「与え、そして奪われる」として、水泳で亡くなる子、弟の死と、嘆く人々の顔。
日本でも先日の3,11の震災を思うとき、先祖から築き上げた田畑、漁場、家族さえ一瞬にして奪っていった。
吹き上げる火山にマグマ、今も地球は生きている、その上に存在する小さな命も、人間の命も、その運命は地球と共同体と感じるのです。

そんなちっぽけな人間なんだけど、心に締める家族の大きなこと!
父はあの時の言った言葉を謝りたい、と思い、息子も後悔でいっぱいです、ただ雰囲気としてジョンは家庭をきっと持たなかったのでしょう、子供の頃のトラウマがそうさせたのかも知れません。(もちろん勝手な想像です)
でも最後にドアが開き、その思いが叶うのです。
昔のままの父に、母に弟に笑顔で会えるのです、ジョンが死んで天国で会ったのではなく、生きているうちにその願いが叶ったということでしょう。

映像が綺麗、音楽がいい、スメタナモルダウには胸が熱くなります。
私の隣の席の方は、はじまってまもなく寝てしまいました。
40分位で数人の若い方が席を立ち出て行きました、(トイレなら戻ってきます)
と、いう取り方それぞれの映画でした。(笑)

子育てのやり直しはきかない、親も子も必死です、でももっといい思い出が作れたら、そんな家庭を持ちたちと子供も願うのでは・・・、やはり答えはないのかも・・・
今日娘家族と男の子二人の孫と遊んでいて、この子達はこれからこの道を進むのだわ〜(心の中でがんばれ!)

もう人生の残りの方が少なくなると、生きとし生けるものすべてが愛おしい、なんて感じる今日この頃です。(笑)