るりとうわた

日常をつづる

原発事故から3年 始まりに過ぎない


昨日今日と、テレビで最近の原発の事故現場を訪れた映像を見ます。
マスコミ関係者を入れた時の映像のようです。
無数の青いタンクが並び、溜まる一方の汚染水タンク、そして事故後3年経った事故現場の底には、高濃度に汚染された水が溜まりと、まだ回復には程遠い様子の映像を映し出していました。
その写真と様子が、こちらで、書かれていました。

福島第一原発事故から3年 始まりに過ぎない発電所の現状は?
http://thepage.jp/detail/20140310-00000001-wordleaf
1から4ページまで報告が続いています。

この現状を見て、原発の再稼働が、どうしてできるのか?とても信じられません。
そして、この過酷な汚染現場で、4000人もの方が働いておられるのですが、廃炉に向けて、30年〜40年かかると、その後の労働力が続くかどうか不安なんだそうです。
毎日新聞の社説を載せます。

<社説>福島原発廃炉 国が先頭に立ち道開け

2014年03月10日


 広大な敷地に、青と灰色の貯水タンクがひしめく。既に1000基を超えている。なお、2日に1基のペースで増設しなければ、増え続ける放射性汚染水をためきれない。

 東京電力福島第1原発の事故から3年がたつ。先月、タンクから高濃度の汚染水があふれ出た。相次ぐ失態で東電の安全管理への信頼は大きく揺らいでいる。

 廃炉には30〜40年かかるとされる。世界に前例のない過酷な作業である。しかし放射能の脅威を取り去り、国民の安全を守るためには失敗は許されない。東電1社の手には負えないのだ。安倍晋三首相の約束通り「国が前面に出て」責任を分担し、廃炉への道を切り開くべきだ。

 ◇汚染水漏れ解消を急げ

 現場では毎日、東電社員や協力会社、下請け企業の従業員ら合わせて4000人以上が廃炉に向けた作業に当たっている。

 水素爆発で天井が吹き飛び、ひしゃげた鉄骨がむき出しになっていた3号機は上層部がきれいに整理された。4号機では昨秋に始まった使用済み燃料プールからの燃料取り出しが進む。廃炉への歩みは少しずつ進んでいる。

 その足をすくいかねないのが汚染水問題だ。先月の事故では、海への排出基準の800万倍という高濃度の放射能に汚染された水がタンクから約100トン流出した。本来、別のタンクに入れようとした汚染水を誤って満杯に近いタンクに入れたためにあふれた。単純なミスに見えるが、事態は深刻だ。

 注入すべきタンクへの弁が閉じられ、注入すべきでないタンクへの弁が開いていた。それがミスなのか故意なのか、再発防止のために徹底した調査が必要だ。タンクの水位が高すぎることを示す警報が鳴ったにもかかわらず、誤作動として見過ごされたことも危機管理の甘さを示している。

 東電は昨夏にも300トンの汚染水漏れを起こした。その後、タンクがあふれないよう警告する水位計を付けた。作業員による監視も強化した。そうした再発防止策を生かせないようでは安全管理体制そのものが疑われても仕方あるまい。

 汚染水は既に43万トンもたまっている。そして毎日400トンずつ増えていく。環境汚染のリスクは高まるばかりだ。東電はトリチウム以外の放射性物質を取り除けるという多核種除去装置「ALPS(アルプス)」で処理した水や、原子炉建屋に流入する前の地下水を海に放出する計画を立てている。しかし、アルプスはトラブルが相次いで本格稼働のめどが立たない。地元漁業者との交渉も行き詰まったままだ。やはり、東電だけに任せてはおけない。

 安倍首相は1月の施政方針演説で汚染水対策をめぐり「国も前面に立って、予防的・重層的な対策を進める」と明言した。必要な支援や指導・監督に乗り出し、万一の場合は責任も負う。それが「前面に立つ」ということではないか。政府はその覚悟を示すべきだ。

 廃炉作業は放射能との闘いである。作業員の被ばく線量は日々蓄積される。被ばくの限度は1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトだ。それを超えると5年間は放射線を浴びる作業にはつけない。

 ◇被ばく量の徹底管理を

 工程が進むにつれ、放射線量の高い原子炉建屋内での作業が増える。規制値に達する作業員は増え続けるはずだ。新たな作業員の確保が大きな課題になる。

 「現場は高齢化している。10年後に働く人がいるだろうか」。ある下請け企業社長の述懐だ。震災前に約20人いた作業員は避難で散り散りになった後、被ばくをおそれて一人も戻ってこなかったという。

 作業員を確保するためには、安全を担保する必要がある。肝心なのは被ばく線量の管理だ。東電は社員に限らず、現場で働くすべての作業員に管理が行き届くよう目配りすべきだろう。

 正当な報酬の確保も大切だ。多段階の下請け構造のために、東電が支払った日給が作業員に届く前に目減りするおそれがある。東電は待遇改善のため昨年12月に元請け企業に支払う日給を1万円引き上げた。作業員にまで行き渡るよう協力企業との連絡、連携を強める必要がある。

 東電は4月に廃炉を担当する部門を「廃炉カンパニー」として社内分社化する。現場の指揮命令系統を見直すほか、社外からの人材活用も検討するという。

 しかし越えるべき壁はあまりにも高い。政府の計画では核燃料の取り出しは1、2号機で2020年度、3号機では21年度に始める。だが、溶け落ちた核燃料がどこにどんな状態で存在するかも定かではない。取り出した後の処理も大きな課題だ。

 国内外から広く研究成果を集め、技術を開発していく必要がある。政府は原子力損害賠償支援機構を改組し廃炉を支援する組織を新設する。電力会社や原発関連企業などで作る国際廃炉研究開発機構とも連携し、実効性のある体制を整えてほしい。

 長期にわたる廃炉作業を成功に導くためには国が先頭に立ち、官民の力を結集することが欠かせない。

本当にオリンピックどころではありません。