るりとうわた

日常をつづる

観劇記

だんだん年を取って来ると、同時に二つのことが出来ない、踊りの発表が終わるまで、観劇の予定も入れず、一つに集中する予定でした、

それが出来たかどうかはわかりませんが、他に入れる気もしない。

それでようやく解放されて、観劇日が来たら、メガネもオペラグラスも忘れて来てしまいました.声だけ聞くつもりだったのかしら??

演目は、シアター-コクーンでの「オイデイプス」でした。

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STORY

「父を殺し、母を娶るであろう」という恐ろしい予言から逃れるため、放浪の旅に出た古代ギリシャコリントスの王子オイディプス市川海老蔵)は、旅先のテーバイで怪物スフィンクスを退治した英雄として請われ、王となる。
オイディプスは先王ライオスの妃イオカステ(黒木瞳)を妻に迎え安寧な日々を送るが、ほどなくしてテーバイ中に疫病が蔓延する。神官(森山未來)を中心に、オイディプスに助けを求めるテーバイの市民たち。オイディプスは国を救うために神託に従い、先王殺害の犯人を捜すが、やがて明らかになるのは恐るべき真実だった…。
 残酷で悲劇的な運命がオイディプスに襲いかかる…。

スタッフ


原作:ソポクレス
翻案・演出:マシュー・ダンスター
翻訳:木内宏昌
 美術・衣裳:ジョン・ボウサー
振付:シャーロット・ブルーム

 

照明:勝柴次朗 音楽:かみむら周平 音響:井上正弘 ヘアメイク:林摩規子 映像:栗山聡
 衣裳スーパーバイザー:中野かおる アソシエイト・デザイナー:中根聡子 演出助手:桐山知也
 通訳:時田曜子 舞台監督:南部丈

 

 

解説

古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが書いたギリシャ悲劇の最高傑作「オイディプス王」。DISCOVER WORLD THEATREシリーズ第7弾となる今回は、この「オイディプス王」を翻案し、『オイディプス』として上演します。

翻案と演出を手掛けるのは、今回が日本での初演出作品となるマシュー・ダンスター。劇作家・作家としても活躍する一方、最近では、映画『スリー・ビルボード』の監督・脚本で脚光を浴びた劇作家マーティン・マクドナーの舞台最新作『ハングメン』の初演を手掛け、ローレンス・オリヴィエ賞ベストディレクター賞にノミネートされるなど、英国演劇界随一の実力派とも名高い演出家です。美術・衣裳は2017年Bunkamura危険な関係』での記憶が新しいジョン・ボウサー、振付にはマシュー・ボーン白鳥の湖』への出演経験もあるシャーロット・ブルームと英国演劇界を牽引する注目のクリエイターたちが集結しました。

主役のオイディプスには、2020年に13代目市川團十郎白猿の襲名を控え、歌舞伎界で革新的な活躍をみせる市川海老蔵オイディプスの妻であり母であるという悲劇的な運命を背負う王妃イオカステには元宝塚歌劇団娘役トップスターで、今もなおその確かな実力を多方面で発揮している黒木瞳オイディプスに嘆願するコロスたちの中心人物である神官を、“俳優”だけでなく“ダンサー”としても高い評価を受け、世界各国でジャンルレスに躍進している森山未來が演じます。そして、オイディプスの側近でありイオカステの弟であるクレオンに高橋和也預言者テイレシアスに中村京蔵コリントスから来た使者に谷村美月、羊飼いに笈田ヨシという、魅力と実力を兼ね備え鮮烈な個性を放つ布陣が実現しました。さらに歌舞伎、現代劇、ダンスの各分野で活躍する才能が集結し脇をしっかりと固めます。

英国トップクラスの演出家と彼が信頼する精鋭クリエイターたち、そしてジャンルを超えた贅沢な顔合わせで、前代未聞のクリエーションに挑みます。まったく新しい『オイディプス』の登場にどうぞご期待ください。 

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 話は題名のごとく、ギリシャ悲劇ですが、現代に置き換えてあります。
海老蔵さんも背広姿です。

私はこれは苦手で、むかしむかしのはなしにしておいてくれれば、過去にあった話ねと、入れるのですが、現代に置き換えてあると、何を暗示している、神託や預言者はおかしい、どこの国のことか?と想像をして集中できなくなるのです。

舞台装置もスチールかステンレスで作られた四角い箱の要塞・シエルターのような建物があるだけで、舞台転換もありません。

外へ行く時は、ガスマスクを付けているので、疫病や放射能が蔓延しているということかも・・・

ただ会話劇が進むにつれ、海老蔵さんの芝居に引き込まれていきます。

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オイデプスの海老蔵さんは圧倒的な存在感で、その妃イオカステを黒木瞳さんは年齢不詳で、コロスたちの中心人物である神官(コロス代表)の森山未來さんと、3人3様の存在感を見せていました。

森山未來さんは数人と踊ります、それは、舞台転換がない中で、大きなインパクトになります。

オイデイプス王は民衆を守るため、神託に従い、そのおぞましい真実を探し求める、そこで、分かったことは、自分たちのことだいうことです。

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父を殺して、母を娶り子を産ませた男が、自分達のことだとわかり、妃イオカステは自殺、その光景を見たオイディプスは、何も見なくていいと、自分の目を潰します。
その血のりが衣装に染まります。

ラスト、真っ赤に染まった衣装にくるまれた海老蔵さんは、自分で「民衆の前にさらけ出せ」と言いつつ、舞台左に向かい歩むうちに、衣装の端に人が乗り、舞台の真ん中に血のりの布が張りついたまま進む海老蔵オイデイプスはいつのまにか、真っ白な衣装になっていて、光りの中に向かう。

歌舞伎だと拍子木が鳴るところですが、もちろん大見得を切るでもなくその光に進む海老蔵オイディプス王の横顔と言うか横スタイルを見ているだけですが、圧巻でした。
いや神にでもなったかと思いました、最後にエンタメが来ました。
休憩なしの1時間50分の芝居でした。

悪の根源を断ちきって、民衆を守ると言う潔さと、あとコロスの代表が映像で、民衆に王の支配が終わったことを告げますが、ここはちょっと軽い気がしました。